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ウォーゲーム、シミュレーションゲームのあれこれ


by たかさわ

ハデスからの脱出

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Hollandspieleの1人用SFゲーム「Escape from Hades」です。

プレイヤーは高速装甲輸送艦「ヴィトル」と、搭乗している特務警護部隊「ブラック・シープ」を使って、監獄船「ハデス」に囚えられているエミリー姫の救出を試みます。ハデスは表層と地下の二段階になっていて、まずはブラック・シープを表層に上陸させ、地下に降りるシャフトを確保し、姫やその他の囚人、財宝などをヴィトルに持ち帰ります。

敵(ナスティアン)は地上兵力と宇宙戦闘機があって、それぞれブラック・シープとヴィトルを襲ってきます。ハデスの地表にもレイルガンやミサイル、レーザーなどの武装があり、徐々に活性化してヴィトルを攻撃してきます。ヴィトルが撃ち落とされないよう、ブラック・シープを無事ヴィトルに生還させるよう、要人や財宝を持ち帰りつつ、敵の指揮官を抹殺する、という盛りだくさんの冒険活劇ゲームになっています。

今回のプレイでは、比較的早い段階でエミリー姫と、その衛兵たちを確保できました。しかし、ブラック・シープはそれだけでは任務成功とは認めてもらえず(そういう勝利条件なのです)、追加の目標を探しに出たところで敵に囲まれてしまい、その間にヴィトルがダメージコントロールに失敗したり、ハデスからヴィトルへの回収に失敗したりと不運が続き、最終的にはヴィトルが撃墜されてしまうという結末となりました。

プレイ時間は5時間ぐらい。ルールに慣れればより短い時間でプレイできると思います。スターシップ・トルーパーズのような、エイリアン2のような、ワイルド・ギースのような、軍事冒険活劇の王道を味わえる、なかなかおもしろいゲームになっている印象です。

コンポーネントのデザイン(色使いとか、絵のテイストとか)や、ルールブックのあちこちにあるジョーク(オヤジギャグ、の類とも言う)は好みが分かれる気がします。でも、それだけでこのゲームをnot for meしちゃうのはもったいないですよ、と申し上げておきます。

次の水曜日にお会いしましょう。

# by gameape | 2020-02-11 18:13 | ソロプレイ
21世紀にワクワクしたウォーゲーム12選+1_e0120077_21343001.jpg

「去る10年間で最も影響力のあったウォーゲームたち」というお題が、年明けにいくつかTwitterで紹介されていました。




自分でも考えてみたのですが、僕自身への影響力が大きかったもの、言い換えるなら「僕が見てワクワクしたゲーム」しか思い浮かびませんでした。200x年代のものもあったりして、かといって切り捨てるには惜しく、「21世紀にワクワクした。。。」なリストができあがった次第です。

  • レイド級(Raid Level):「Downtown」(GMT Games、2004年)
  • ハガキゲーム:「Stand at Mortain」(LPS、2006年)
  • ミニゲーム+カード:「No Retreat!」(Victory Point Games、2008年)
  • ソロプレイ用のボット:「Labyrinth」(GMT Games、2010年)
  • コマ数でステップを示す(Stacks of Steps):「Blood on the Alma」(Lock N Load、2012年)
  • 移動プロット用ホイール:「X-Wing Miniatures」(Fantasy Flight Games、2012年)
  • 戦闘結果で主導権交替:「July Offensive」(国際通信社、2012年)
  • コンピューターゲームと紙ゲームの両方を提供:「Battle of the Bulge」(Shenandoah Studio、2012年)
  • 増援登場順をプロット:「ノルウェイ!」(ボンサイゲームズ、2013年)
  • サイドビューの2Dマップ:「Wing Leader」(GMT Games、2015年)
  • コマを動かさないウォーゲーム:「W1815」(U&P Games、2015年)
  • 1コマずつ交互に動かし、パス後の行動回数はダイスで:「Gettysburg」(RBM Studio、2018年)

Webなどで見てワクワクしただけで、持っていないし、プレイしたこともない、というものも含まれています。「日露大戦」(冒頭の画像)はとても面白くてワクワクしたのですが、おそらくルーツは「No Retreat!」なんじゃないかな、ということで、リストには「No Retreat!」を含めました。

タイトルを「12選+1」としたのは、前述した12作に加えて、ゲームではなく出版社である「Hollandspiele」を入れたかったからです。ご家族でウォーゲーム出版を生業にしていて、トム・ラッセルのコメントが面白くて、箱ゲーとPnPを両立させる提供方法が便利である、などなど。そのスタイル自体がワクワクしまくりの存在になっています。

他にもワクワクしたものがありそうな気もしますが、考え出すと2020年代が終わってしまうので、えいやっと公開してしまうことにします。2020年代にもワクワクするゲームにたくさん出会えますように。もちろん、ワクワクする出版者さんや、ワクワクするウォーゲーマーさんにも、です。

それから、ワクワクを感じられる感性が枯渇しませんように。。。

# by gameape | 2020-01-31 22:00 | 考えごと
ミュージカルか、ウォーゲームか_e0120077_11185554.jpg

GMT Gamesのマンスリー・ニュースに、GBACWのシャイローがP-500に追加されたと書いてありました。シリーズゲームの新作がアナウンスされたときに、持っているのにプレイしていないモノが複数ある、という状況には慣れましたが、それでも漠然と焦りを感じるのは毎度のことです。

南北戦争の「歩兵にも射程がある級」の場合、GMTのGBACW以外にもLine of Battle(MMP)やBlind Sword(Revolution)もに気なるし、GMT以前のGBACWの積みゲーもあったりしてあったりして、広がる荒野の大きさときたら無限に広がる大宇宙で、最後のフロンティアです。南北戦争連隊ゲー無間地獄。

今回のタイトルは「Into the Woods」。何年か前に映画になったミュージカル(ウェスト・サイド物語やスウィーニー・トッドのスティーブン・ソンドハイム)を思い浮かべる反応で正しいんでしょうか。このシリーズは最近「Twin Peaks」や「Death Valley」のように、そのタイトルからは南北戦争やウォーゲームを想像しないのではないかしら、と思うものになっている印象です。僕が知らないだけだったらごめんなさい。

こういうタイトルはWeb検索で不便かというと、いまどきは「ゲーム」とか「game」とかを添えてあげれば、精度の高い結果を得られることが多いです。むしろ、ウォーゲームじゃない方の検索をしようとした人が、「お、こんなゲームがあるのか。どれどれ」となったりして。ないか、そんなことは。

ウォーゲームも映画も好きな人どうしの会話では、「ローラ・パーマーじゃない方のTwin Peaks」とか、「メアリー・スティーンバーゲンじゃない方のDead of Winter」とか言うことが、ごくごく稀にあるのかもしれません。

# by gameape | 2020-01-25 11:47 | 考えごと
第39回紅白ウォーゲーム合戦_e0120077_19362555.jpg

僕が2019年に遊んだウォーゲームをリストにしたところ、出版年が2000年より前のものと後のものとが、ちょうど半々になりました。大晦日ですので、これを紅組と白組に分けないわけにはいきません。

リストは上から遊んだ日数が多い順です。「遊んだ」というのは対戦やソロプレイの他、ショップに発注した、受け取った、ルールをスキャンした、読んだ、コマを切った、なども含みます。

遊んだ日数が最も多かったのはTCSとASL SK。射程やLOSのないウォーゲームが好きだと思っているのですが、自分の嗜好は案外わかっていないものなのでしょう。どちらのシリーズにも未踏の領域が広大に広がっていますし、ゲームシステムへの理解が深まれば違った体験が得られるとも思っています。Arieteが発売されますように。

GCACWは「20年連続出場」みたいな存在。今年はPBEMトーナメントに参加したり、新作(ピータースバーグとナッシュビル、どちらも1864年)のプレイテストをさせてもらったり。Pendoragonはカードや図表を日本語で作ったりして、かなりマジメにお付き合いさせていただきました。4人プレイを2回も実現できたのはとてもいい話。

NATO Division Commanderは長らく気になっていたのですが、今年ようやく入手して、期待にたがわず大変に面白いゲームでした。コントローラーゲームをいつか実現したいです。喜んでコントローラーを担当します。Table Battlesは新作が出るたびに「名前を聞いたことしかなかった戦争」についての知見が、ほんの少し広がるのがいい感じです。

Flashpoint: Golanは今年最大の問題作でした。5ヘクスとか10ヘクス先にLOS不要で臨機射撃できる、しかも1ヘクスが4kmという世界。シミュレーションとしてもゲームとしても、とてもユニークな存在だと思います。A Gate of Hellはチャールストンの戦いを描くゲームとして期待したのですが、うまくルールを理解することができず、プレイには至りませんでした。残念。

Berlin ’85と東大安田講堂強襲は、実在の市街地マップを使うゲームが並びました。どちらも、攻撃側にそれほど余裕がないというか、数で圧倒していて包囲もしているけれど、リソースを遠慮せずに使ってしまうと勝てない、という点でも共通しています。

ここまで書いて、21時を過ぎました。年内にポストしたいので、手短かに。。。

OCSはゲーム自体よりも、OCSを楽しんでいる人たちの話が楽しさに惹かれてプレイ。Westphaliaはプレイヤーが6人揃う日を気長に待ちます。ドイツ戦車軍団はエポック版のルールブックを読みたくてオークションで入手。This Guilty Landはゲームの意図をまだつかみきれていない印象。独ソ電撃戦はエポック版をプレイしただけで、北マップは2020年代に持ち越しです。Absolutely Acesはカードの絵柄がおもしろい。

英国の戦いはEWE(エポック・ウォーゲーム・エレクトロニクス)のアレです。まさか実物に触れるとは思いませんでした。The Battle of Gettysburg(C3i 32号の付録)のシステムはウォーゲーム史に残る発明と言っていいでしょう。戦車狂騒曲はゲームはもとより一緒にプレイしたメンバーが非常においしゅうございました。弓張嶺夜襲作戦は、ウォーゲーム・ハンドブック10周年おめでとうございます。

紅白ですから、勝ち負けを決めましょう。

この二組のうちのどちらかを、ということになると、懐古っぽくなりますが「紅組」の方が高得点です。ASL SKやWestphaliaはプレイしたいし、Table BattlesやGettysburgやGuilty Landの新しさはすばらしいのですが、TCSとNATOとGolanの「蝶よ花よと愛したくなる」ところが2019年らしい、ということにさせてください。

あと2時間半たらずで2020年。引き続きウォーゲームを楽しむ所存です。

# by gameape | 2019-12-31 21:32 | 節目

201x年代をふりかえる

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2019年(T66)も残りあとわずかとなりました。2010年(T57)からの10年間をふりかえってみました。カッコ内のTに続く数字は「Tactics暦」です。

2010年(T57):僕の201x年代は、2009年(T56)の暮れに発売された「Battle Above the Clouds」の配達で始まりました。興奮しながら作った動画がYouTubeの「最長10分」という枠に収まらず、後編もあります。このYouTubeの10分制限というのは、今はもうないようです(要確認)。


「SLGamer」や「ウォーゲーム・ハンドブック」が創刊されました。

SLGamer

「鉄十字の軌跡」が出版された年でもあります。出版記念トークショーは大変に面白かったです(紹介記事)。客席でTwitter中継したものが残っています。


2011年(T58):大きな地震で大量のゲームが棚から崩れ落ちましたが、いくつかの箱に穴があいた程度の被害ですみました。

Game shelf collapsed but I am fine :-)

その約10日後に、まだ全然片付いていない拙宅に若いプレイヤーさんを呼びつけて、2日間にわたって「Battle Above the Clouds」をプレイしました。これが大変に面白い体験となりまして、僕にとって生涯最良で、最強で、最楽のウォーゲーム体験になりました。ブラウン管でVHSなテレビデオが写ってるのがいとおかし。

Battle Above the Clouds - Setup completed

この年の夏にはSLGamer誌の中の人たちが、初心者さん歓迎を強く打ち出したウォーゲーム会「SLG Con」の第1回を開催しています。

2012年(T59):僕が開催させてもらっている「猿遊会」というウォーゲーム会がありまして、そこで参加者さんの集合写真を撮り始めました。以来、毎年いい写真を撮らせてもらっています。

猿遊会2012 二日目

「このシミュレーションゲームがすごい」(aka このシミュ、このシミュゲ)が創刊されたり、タブレットPCでプレイできるウォーゲーム「The Battle of the Bulge」がShenandoah Studioから発売されたのもこの年です。

2013年(T59):短時間かつ小さめのマップであれば、ゲームの全体を10分程度に収めた動画を、スマホ1台で作れる時代になりました。コマやマップに書かれている文字が判別できる解像度も、普通のことになってしまいました。


他にも、「ハガキのゲティスバーグ」の対戦をライブで流す企画がありました。これが大変に楽しい内容になった(自画自賛)のですが、その録画は使用していたUSTreamというサービスの終了(正確には終了ではないですが)とともに見られなくなってしまいました。

コマンドマガジンさんの「ウォーゲーム士官学校」の第1回目が開催されたのもこの年です。

2014年(T60):スマホやタブレット(拙宅の場合はiPod touchとiPadですが)でルールを読むことが多くなり、さらにはウォーゲームのプレイ自体も携帯機器でという気持ちが強まって、こんな動画を作りました。



この年、南北戦争の西部戦域をドライブして回る旅行をしました。冒頭の画像はその自慢です。

2015年(T61):コマンドマガジンがKindleで読めるようになりました(123号から)。文字をもっと大きく拡大しり、コピーしたり、検索したりしたいなぁ、と思うこともありますが、800円で読み放題なのはとてもありがたいです。



2016年(T62):ジュトランド海戦から100年ということで、そこそこ広い会場を使って「Jutland」(AH)だけをプレイする、というゲーム会をやりました。僕はプレイせず、プレイヤーさんたちを見ているだけだったのですが、ガッツのあるプレイヤーさんたちを見るのは、ウォーゲームをプレイするのと同じぐらい(もしかすると、もっともっと)面白いのでありました。


2017年(T63):「Banzaiまがじん」が創刊。創刊号を猿遊会で配布いただけるという光栄なイベントもありました。

Banzai Magazine

中黒靖さんの永久保存版と言えそうなインタビューもありました。こういう記録はもっともっと増やしてほしいです。


書泉ミリタリーマーケットで堀場工房さんと、ジブセイルゲームズさんによるトークショーがあったのもこの年です。話者さんの写真を撮っておかなかったのは大失敗。話の内容は「Banzaiまがじん」の第1号に掲載されています(PDF版をダウンロードして読めるんですよ!)。

書泉ミリタリーマーケット5

2018年(T64):「ボードウォーゲームをプレイしてみよう」が創刊。

2019年(T65):「BanzaiまがじんEX」が創刊。

なお、本稿では「3号まで発行していること」を紹介の条件したので2019年の12月に創刊されたばかりの「武士好きによる、武士好きのための同人誌」は対象外とさせていただきました。あしからず。

全体として:ウォーゲーム史において重要な一作がこの年に出た、というようなことは思い付けませんでした。全体としてウォーゲームは元気だし、ウォーゲーマーにも元気な人がそれなりにいた、とは言っていいと思います。去ってしまった人、雑誌、シリーズ、出版者、などなど、無かったわけではありませんが、それは諸行無常であるし、「そういうものだ」ということにさせていただきます。

最後に、年ごとにウォーゲームを1タイトルずつ選んだリストを書きます。2012年から2018年は「このシミュ」で記事を書かせていただいたタイトルです。
  • 2010年 Seven Pines(CWB、The Gamers)
  • 2011年 Battle Above the Clouds(GCACW、MMP)
  • 2012年 Shenandoah: Jackson's Valley Campaign(Columbia Games)
  • 2013年 The Battle of the Bulge(Shenandoah Studio)
  • 2014年 Stonewall Jackson's Way II(GCACW、MMP)
  • 2015年 Enemy Coast Ahead(GMT Games)
  • 2016年 Rebellion(Fantasy Flight Games)
  • 2017年 More Aggressive Attitude(Hollandspiele)
  • 2018年 東大安田講堂強襲(ジブセイルゲームズ)
  • 2019年 Canadian Crucible(TCS、MMP)

# by gameape | 2019-12-28 23:48 | 節目