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ウォーゲーム、シミュレーションゲームのあれこれ


by たかさわ

第40回紅白ウォーゲーム合戦

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僕が2020年に遊んだウォーゲームをリストにしたところ、ZOCのないものとZOCのあるものが、ちょうど半々になりました。大晦日ですので、これを紅組と白組に分けないわけにはいきません。

リストは上から遊んだ日数が多い順です。「遊んだ」というのは対戦やソロプレイの他、ショップに発注した、受け取った、ルールをスキャンした、読んだ、コマを切った、なども含みます。

「NATO Air Commander」と「Waterloo Campaign 1815」は時代もシステムも違いますが、どちらも手軽にプレイできて、戦域全体の動きを俯瞰できる面白さが共通点と言っていいでしょう。エアランドバトルをどこでやるか、Grand BatteryやOld Guardsをどこに投入するか。続編(?)の「Warsaw Pact Air Commander」と「Rebel Fury」がとても楽しみである、という点も同じです。

昨年に終了宣言が出たTCSの新作「Ariete」が愛でたく、もとい、めでたく出版されて、それどころか次回作の「Goose Green」の製作動画までも公開されたことは、2020年の大きなニュースでした。両作ともフルマップ1枚かつカウンターシート1枚の、現実的なサイズにまとまっているところもステキです。「Flashpoint: Golan」は昨年終盤から引き続き楽しませてもらいました。第5次中東戦争をこのマップを使って、GettysburgやWaterlooのシステムでリブートしたら面白いのではないかと。

「Air War」はスマホで毎日1ターンずつソロプレイを進めて遊びました。両軍あわせて10機以上が登場するシナリオや、バックファイアが合衆国上空に侵入するシナリオなど、今までやったことのなかった状況が新鮮で面白かったです。「ドイツ戦車軍団」は盤面の画像に移動や攻撃を矢印で描きこんで、それをTwitterで送りあうだけで進めた対戦が印象に残りました。普段使うツールだけでもリモート対戦はできるもんだと大変ワクワクしました。

YSGAさんが毎年開催しているバルジ例会に、自宅で「Bloody 110」をソロプレイして「リモート参加」とさせてもらいました。新型コロナウイルスの前から、遠隔地からのゲーム会参加というのはあっていいと思っていたのですが、期せずして自分でやることになりました。TCSの第1作と最新作がリストに入ったのもうれしい。本物の紅白で同じ事務所の大先輩と新人が出演する感じでしょうか。「The Battle of Gettysburg」と「Waterloo Campaign 1815」も同じような間柄と言えますね。

今年は紙のウォーゲームをiPadやiPhoneで遊ぶことが非常に多かったですが、「Pub Battles Antietam」は物理コンポーネントでプレイするのが楽しいです。見た目以外も十分に面白いウォーゲームだと思うので、南北戦争以外の題材の製品にもトライしたい。「Objective Nuremberg」は題材自体に惹かれるところは大きいですが、攻撃側がフルマップの長辺をガーっと進撃していく状況を、簡単なルールでプレイできる「独ソ電撃戦」的なよいゲームだと思います。

半分まできたので、ここで紅白の順番を入れ替えて、白組を先にします。

GCACWシリーズもスマホやタブレットで遊ぶようになりました。「Roads to Gettysburg II」に収録の「South Mountain」「First Day at Gettysburg」など1ターンシナリオをちょこちょことプレイしています。「Fighting Sail」はプレイ方針をTwitter投票で決める「Play by Vote」が楽しかったです。投票やコメントをいただいた皆様、ありがとうございます。ホーンブロワーが大変なことになってしまったことをお詫びします。

「The Battle of Issy」はほんの序盤だけをソロプレイしたところで止まっています。ルールがとてもよく整理されていて、読んでいるだけでいい気分になれます。「Vector 3」は3D描画でウォーゲームをプレイすると面白いのではないかと試してみましたが、今のところはオリジナルのコンポーネントでプレイした方がやりやすい印象です。というか、そもそも三次元空間をぜんぜん活用できていない気がします。

「Objective Munich」は単に同じシステムを別の場所に移すだけでなく、空中機動部隊を追加して味変しているところがいいサービスだと感じました。Nurembergとつなげても無理なくプレイできそうで、Frankfurtやその次の2作も楽しみです。「Panzer Battles」は、実はこのゲームがTCSのルーツなのではないかと思い当たってのプレイです。ルールが飲み込みにくくて最初のガザラだけで止まっていますが、いつかアラクールをプレイしたい。いや、します。

「The East is Red」は日露戦争の戦場で、北アフリカのような補給状態で、機械化兵力と人海戦術が朝鮮戦争のように激突する、という座組を見せてもらいました。なるほど仮想戦ゲームというのはこんな考え方で作るものなのかも、と考えが広がった感じです。「F-16ファイティング・ファルコン」はウォーゲームのコマを傾けたいと思っているウォーゲーマーさんたちとの交流を喜んでいるうちに、リモート対戦まで実現してしまって、非常にいい思いをさせてもらえたゲームです。

Central Front Seriesをプレイしたいと思って「Fifth Corps」(と「BAOR」)を触る日は結構あったのですが、ソロプレイを始めるには至りませんでした。このシリーズはGCACWシリーズのご先祖さまだと思っていて、そこをきちんと確かめるためのプレイが来年こそ、というと鬼が笑うのでやめます。「第三次ソロモン海戦」は、自分のように戦史をよく知らない受け手が、戦史を知るためのメディアとしてとてもよくできていると思います。

紅白ですから、勝ち負けを決めます。今年は白組、ZOCありゲームの勝ちです。

ZOCのありなしで紅白の組分けをしたのは、Twitter大喜利で「ウォーゲームで使い物にならなくなったシステムは?」というのがありまして、それに僕が「ZOC」と答えたのがきっかけです。移動力がどれだけ残っていても進入停止にしかならないことや、支配しないのに支配地域と呼ぶことが紛らわしいことなどを考えて、何か新しい概念で置き換わったり進化したりしたらいいなと思っての発言でした。

今回の紅白ウォーゲーム合戦のリストを見る限り、ZOCは非常に有効なシステムとして現役だと思いますし、ZOCのあるゲームとないゲームとが、それぞれうまいこと機能していて、少なくとも2020年に僕が頻繁に遊んだゲームの中では、ZOCをうまく置き換えたり進化させたりするものは、目立って出てきているわけではない、と言うことなのだと思います。なので、ZOCすげー、ということで白組の勝ちです。

皆さま、良いお年をお迎えください。来年もウォーゲームをたくさん遊ぼうと思います。

by gameape | 2020-12-31 12:02 | 節目