C3i誌の最新号にTable Battlesのシナリオが2本ついているそうです。とはいえ、それだけのために購入するのはどうかなぁ、と思っていたらうち1本が何とゲインズ・ミルとのこと。結構な度合いでグラっときておりまして、Table Battlesの熱さを実感しております。
Table Battlesが発売されたころ、Webでその画像を見てマッチ棒のような形状のコマがとても印象的かつ魅力的だと思いました。Columbia Gamesなどの正方形のブロックとは違う。Bonaparte at Marengoよりさらに細長くてマッチ棒のような、お線香のような。どう使ってプレイするのかがわからないまま、でも何となく惹かれてしまうルックスでした。
とは言うものの、ウォーゲームよりはより抽象的なゲームとか、ユーロっぽいゲームとかなのだろうと思いました。出版元の「ホランドシュピール」という名前を見て、オランダにあるユーロゲー屋さんなのだろうとも思ったり。Table Battlesに触れることはなく、星の数ほどある他のウォーゲームたちを追いかける生活へと戻りました。
Consim Worldに寄付をするとお礼にゲームをもらえます。今年はその中にTable Battlesのシナリオ「マルプラケ」がありました。PDFなのであの魅力的なコマは付いてきません。遊び半分にSketchUpでそれっぽく3Dモデル化してみたところ、仮想世界の中でもやっぱりカッコいいではありませんか。しかも、ゲームとしてもなかなか面白い。
対戦相手も見つかったので、さっそくVASSALモジュールにしてオンライン対戦してみると、これがやっぱり面白い。出版元が言うように「20分で終わる」かどうかは微妙ですが、1時間に2回プレイできるくらいの軽さだとは思います。こういう軽いゲームをシンキー・フィラー(Thinky Filler)というのだそうです。
ウォーゲームがこういう短時間かつ軽量のものばかりになってしまったら困りますが、これはこれで非常に面白くて熱い存在。ゲーム会のちょっと空いた時間とか、より大きいゲームをする余裕はないけれどせっかく顔を合わせたんだから、というときの有力候補ですよ。
甚だしく余談ですが、拙作「シェナンドー・ナノ」も20分くらいで終わります。
閑話休題。
実際のプレイでは箱絵とは違い、カードを並べてその前にコマを置きます。コマはフォーメーションごとのステップを表します。マップは使わず、カードとコマとダイスだけでプレイします。互いに正面の敵を攻撃してステップを減らし、フォーメーションを除去するとモラルが下がり、先にモラル崩壊した方が負けという流れです。
プレイ感覚は(Reiner Kniziaの)「Battle Line」に似てなくもありません。僕はBattle Lineを「ウォーゲームっぽいゲーム」だと思っているのですが、Table BattlesはBattle Lineよりウォーゲームっぽさが濃い印象です。
題材になっている戦いが具体的に提示されていること、フォーメーションごとに史実と同じ名称がつけられていて、その能力や性質にも特徴づけがされていることなどがその理由です。プレイしていると、題材になっている戦いについて何となくわかったような気になれる不思議。
Table Battlesはこれまで3作が出ていて、4作目が近日発売予定です。それに加えて冒頭に書いたC3iの付録があります。扱う戦いは次のとおりです。
第1作 Table Battles
- ボズワース(Bosworth、1485年、薔薇戦争)
- イヴリー(Ivry、1590年、ユグノー戦争)
- 白山(White Mountain、1620年、三十年戦争)
- マーストン・ムーア(Marston Moor、1644年、清教徒革命)
- 砂丘(Dunes、1658年、フランス・スペイン戦争)
- マルプラケ(Malplaquet、1709年、スペイン継承戦争)
- エイブラハム平原(Plains of Abraham、1759年、フレンチ・インディアン戦争)
- ブルックリンハイツ(Brooklyn Heights、1776年、アメリカ独立戦争)
拡張1 薔薇戦争(War of the Roses)
- 第1次セント・オールバン(First St. Albans、1455年)
- ブロア・ヒース(Blore Heath、1459年)
- モーティマーズ・クロス(Mortimer's Cross、1461年)
- タウトン(Towton、1461年)
- エッジコート・ムーア(Edgecote Moor、1469年)
- バーネット(Barnet、1471年)
- テュークスベリー(Tewkesbury、1471年)
- ストーク・フィールド(Stoke Field、1487年)
拡張2 アレキサンダーの時代(Age of Alexander)
- カイロネイア(Chaeronea、前338年)
- グラニコス(Granicus、前334年)
- イッソス(Issus、前333年)
- ガウガメラ(Gaugamela、前331年)
- ヒュダスペス(Hydaspes、前326年)
- ガビエネ(Gabiene、前316年)
- イプソス(Ipsus、前301年)
C3i 32号
- ゲインズ・ミル(Gaines Mill、1862年、南北戦争)
- ブーヴィーヌ(Bouvines、1214年、アングロ・フレンチ戦争)
拡張3 ゲティスバーグの2日目(近日発売)
- リトル・ラウンド・トップ(Little Round Top、1863年)
- セメタリー・リッジ(Cemetery Ridge、1863年)
- ピーチ・オーチャード(Peach Orchard、1863年)
- …などなど
Table Battlesのシステムはかなり汎用性が高いのではと思います。日本や中国などの合戦の他、アニメやSF映画などを題材にしたシナリオが出てきたりしないでしょうか。例えば「冥王星会戦」とか「迫撃!トリプル・ドム」とか。。。