セブン・パインズで戦うか否か
2012年 09月 23日
On to Richmond!のシナリオ「Seven Pines」の面白さは、「セブン・パインズを戦場にすべきか否か」という決断にあると思います。
ゲーム開始時、北軍はセブン・パインズ周辺をキーズの軍団だけで守っています。南軍はこれを正面から攻撃するか、兵力を側面に送ってより有利な決戦場を作るかを考えることになります。
セブン・パインズでの戦いを序盤に持ってくれば、北軍が援軍をこの戦いに投入できる可能性は低いです。一方で、雨の中を正面から攻撃するリスクは小さくありません(でも、この攻撃に失敗だけで南軍の負けは確定しないはず。。。)。
北軍には、セブン・パインズ周辺での戦闘で南軍に消耗してもらうのか、さっさとサベッジ・ステーションに後退して援軍と合流するのかの選択肢があります。
戦闘によるVPを南軍に与えずにセブン・パインズ(と隣にあるフェア・オーク・ステーション)から後退し、そこから先を守りきれば北軍の勝ちです。後退で戦線は短くなり、より強力な布陣で南軍の攻撃を待ち受けることができます。一方で、失ってよいVPはほとんどなくなりますので、ちょっとしたミスやダイスの偏りを挽回する余裕がないところが痛いです。
両プレイヤーが抱えるこれらのジレンマが、このシナリオの魅力であることは間違いないのですが、それに加えて、「(実際には戦場になった)セブン・パインズを戦場にするか否か」という決断自体が、このシナリオ(ひいてはGCACWシリーズ)の面白さなのだと思います。
なぜ戦場がそのときにその場所でおこなわれたのか、場所や時間が変われば何が起きたのか、という妄想を広げるオカズとして、このシナリオは非常に優れており、そういう妄想はウォーゲームという趣味のとても大きなウェイトを占めているのではないかと思うのです。
「実際におきた戦闘がゲームの中でもおこるのか」という話は、ウォーゲーマーの間で頻繁にされるものだと思います。
実際のところは、おこるゲームもあれば、おこらないゲームもある、というどうしようもない結論になるのでしょう(意図しておこすプレイヤーもいれば、あえて外そうとするプレイヤー、という切り口も。。。)。とは言え、それ自体でゲームの良し悪しの判断するというよりは、「では史実の戦いはなぜその場所で、その時間に」というおいしい妄想のオカズとしてウォーゲームを活用するのが楽しいと思います。
GCACWシリーズに限らず「史実とは違う決戦」を見つけたら、ウォーゲームの楽しさを味わう重要なきっかけと位置づけて、妄想を始めるくらいがよいのかもしれません。