2012年のキーワードその3:長期的な同期
2012年 01月 02日
・2人以上がゲームを遊ぶ場合は時間と空間と行動規範が同期される
・郵便や電子メールを使うことで時間が非同期でもプレイできる
・VASSALなどのツールを使えば空間が非同期でもプレイできる
・時間が同期したゲームでは「トイレに行っているうちに」な戦術が有効になる
これらの話に僕は2種類の「同期性」があるように感じています。
まずはゲームの中における、またはゲーム内の単位時間(特定のターンとか、フェイズとか)における同期性です。この同期の例が「トイレに行ってるうちに戦術が有効なゲーム」や「ぼさっとしていると置いていかれちゃうゲーム」です。ボードゲームやカードゲームでこの種の「同期」がゲームテクニックに直接的に影響するものは、そんなに多くないんじゃないかと思います(徳岡さんは「Diplomacy」と(トランプの)「スピード」を例としてあげています)。
もうひとつは「そもそもプレイするために必要な同期」です。約束の時間に会場に出向くというのは時間と空間の同期です。郵便や電子メール、VASSALなどのツールが時間や空間が非同期でもプレイを実現させることは徳岡さんが書いているとおりです。
で、ここからが本題です。この「同期しているか否か」という切り口が、僕が結構前からモヤモヤと考えていたことをうまく説明できそうだなと最近感じています。モヤモヤというのは、ウォーゲーマーごと、ゲームごとの体験時間をうまく同期させたい、という願望です。
気になるゲームがあるのに、自分がそのゲームを体験していくペースが周囲と合わないときがあります。また、気になるプレイヤーがいるのに、特定のゲームを体験していくペースが合わないときがあります。気になっていたゲームを入手したのに、のんびりしていたら周囲で予想外に研究が進んでしまい、「お互いに初心者だよね」というプレイ体験の機会を逃してしまうとか、「また対戦しましょう」と約束したものの、次の対戦までの間に先方だけがそのゲームの研究をバリバリ進めてしまってトホホとか、そんな感じです。
「長期的な同期」とでも言うべきこの「体験時間が同じくらいのプレイヤーと対戦したい」という願望は、相手と示し合わせて体験時間が同等になるよう過ごすか、そもそも示し合わせる必要すらないくらいスタイルの似た仲間を持つか、体験時間が同等のプレイヤーをその都度探すかすることで実現できるのだろうと思います。
とはいえ、最初の2つは「たまたまそういう人と知り合えるかどうか」に負うところが大きく、努力して実現できる種類のものではないように思います。一方、最後のひとつはいろいろなプレイヤーがゲームごとの体験時間を公表していくことである程度実現できるように思うので、いつかそういう仕組みができたらいいなぁ、と生温かく願い続けていたりします(あくまで他力本願。。。)。
そもそも、この「長期的な同期」を望むウォーゲーマーがどのくらいいるのかが大きな問題なのかもしれません。まずは、この文章を書いて様子を伺ってみよう、とぼんやり考える新年2日目の夜なのであります。