人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ウォーゲーム、シミュレーションゲームのあれこれ


by たかさわ
第40回紅白ウォーゲーム合戦_e0120077_10573853.jpg

僕が2020年に遊んだウォーゲームをリストにしたところ、ZOCのないものとZOCのあるものが、ちょうど半々になりました。大晦日ですので、これを紅組と白組に分けないわけにはいきません。

リストは上から遊んだ日数が多い順です。「遊んだ」というのは対戦やソロプレイの他、ショップに発注した、受け取った、ルールをスキャンした、読んだ、コマを切った、なども含みます。

「NATO Air Commander」と「Waterloo Campaign 1815」は時代もシステムも違いますが、どちらも手軽にプレイできて、戦域全体の動きを俯瞰できる面白さが共通点と言っていいでしょう。エアランドバトルをどこでやるか、Grand BatteryやOld Guardsをどこに投入するか。続編(?)の「Warsaw Pact Air Commander」と「Rebel Fury」がとても楽しみである、という点も同じです。

昨年に終了宣言が出たTCSの新作「Ariete」が愛でたく、もとい、めでたく出版されて、それどころか次回作の「Goose Green」の製作動画までも公開されたことは、2020年の大きなニュースでした。両作ともフルマップ1枚かつカウンターシート1枚の、現実的なサイズにまとまっているところもステキです。「Flashpoint: Golan」は昨年終盤から引き続き楽しませてもらいました。第5次中東戦争をこのマップを使って、GettysburgやWaterlooのシステムでリブートしたら面白いのではないかと。

「Air War」はスマホで毎日1ターンずつソロプレイを進めて遊びました。両軍あわせて10機以上が登場するシナリオや、バックファイアが合衆国上空に侵入するシナリオなど、今までやったことのなかった状況が新鮮で面白かったです。「ドイツ戦車軍団」は盤面の画像に移動や攻撃を矢印で描きこんで、それをTwitterで送りあうだけで進めた対戦が印象に残りました。普段使うツールだけでもリモート対戦はできるもんだと大変ワクワクしました。

YSGAさんが毎年開催しているバルジ例会に、自宅で「Bloody 110」をソロプレイして「リモート参加」とさせてもらいました。新型コロナウイルスの前から、遠隔地からのゲーム会参加というのはあっていいと思っていたのですが、期せずして自分でやることになりました。TCSの第1作と最新作がリストに入ったのもうれしい。本物の紅白で同じ事務所の大先輩と新人が出演する感じでしょうか。「The Battle of Gettysburg」と「Waterloo Campaign 1815」も同じような間柄と言えますね。

今年は紙のウォーゲームをiPadやiPhoneで遊ぶことが非常に多かったですが、「Pub Battles Antietam」は物理コンポーネントでプレイするのが楽しいです。見た目以外も十分に面白いウォーゲームだと思うので、南北戦争以外の題材の製品にもトライしたい。「Objective Nuremberg」は題材自体に惹かれるところは大きいですが、攻撃側がフルマップの長辺をガーっと進撃していく状況を、簡単なルールでプレイできる「独ソ電撃戦」的なよいゲームだと思います。

半分まできたので、ここで紅白の順番を入れ替えて、白組を先にします。

GCACWシリーズもスマホやタブレットで遊ぶようになりました。「Roads to Gettysburg II」に収録の「South Mountain」「First Day at Gettysburg」など1ターンシナリオをちょこちょことプレイしています。「Fighting Sail」はプレイ方針をTwitter投票で決める「Play by Vote」が楽しかったです。投票やコメントをいただいた皆様、ありがとうございます。ホーンブロワーが大変なことになってしまったことをお詫びします。

「The Battle of Issy」はほんの序盤だけをソロプレイしたところで止まっています。ルールがとてもよく整理されていて、読んでいるだけでいい気分になれます。「Vector 3」は3D描画でウォーゲームをプレイすると面白いのではないかと試してみましたが、今のところはオリジナルのコンポーネントでプレイした方がやりやすい印象です。というか、そもそも三次元空間をぜんぜん活用できていない気がします。

「Objective Munich」は単に同じシステムを別の場所に移すだけでなく、空中機動部隊を追加して味変しているところがいいサービスだと感じました。Nurembergとつなげても無理なくプレイできそうで、Frankfurtやその次の2作も楽しみです。「Panzer Battles」は、実はこのゲームがTCSのルーツなのではないかと思い当たってのプレイです。ルールが飲み込みにくくて最初のガザラだけで止まっていますが、いつかアラクールをプレイしたい。いや、します。

「The East is Red」は日露戦争の戦場で、北アフリカのような補給状態で、機械化兵力と人海戦術が朝鮮戦争のように激突する、という座組を見せてもらいました。なるほど仮想戦ゲームというのはこんな考え方で作るものなのかも、と考えが広がった感じです。「F-16ファイティング・ファルコン」はウォーゲームのコマを傾けたいと思っているウォーゲーマーさんたちとの交流を喜んでいるうちに、リモート対戦まで実現してしまって、非常にいい思いをさせてもらえたゲームです。

Central Front Seriesをプレイしたいと思って「Fifth Corps」(と「BAOR」)を触る日は結構あったのですが、ソロプレイを始めるには至りませんでした。このシリーズはGCACWシリーズのご先祖さまだと思っていて、そこをきちんと確かめるためのプレイが来年こそ、というと鬼が笑うのでやめます。「第三次ソロモン海戦」は、自分のように戦史をよく知らない受け手が、戦史を知るためのメディアとしてとてもよくできていると思います。

紅白ですから、勝ち負けを決めます。今年は白組、ZOCありゲームの勝ちです。

ZOCのありなしで紅白の組分けをしたのは、Twitter大喜利で「ウォーゲームで使い物にならなくなったシステムは?」というのがありまして、それに僕が「ZOC」と答えたのがきっかけです。移動力がどれだけ残っていても進入停止にしかならないことや、支配しないのに支配地域と呼ぶことが紛らわしいことなどを考えて、何か新しい概念で置き換わったり進化したりしたらいいなと思っての発言でした。

今回の紅白ウォーゲーム合戦のリストを見る限り、ZOCは非常に有効なシステムとして現役だと思いますし、ZOCのあるゲームとないゲームとが、それぞれうまいこと機能していて、少なくとも2020年に僕が頻繁に遊んだゲームの中では、ZOCをうまく置き換えたり進化させたりするものは、目立って出てきているわけではない、と言うことなのだと思います。なので、ZOCすげー、ということで白組の勝ちです。

皆さま、良いお年をお迎えください。来年もウォーゲームをたくさん遊ぼうと思います。

# by gameape | 2020-12-31 12:02 | 節目
ドイツ戦車軍団のエル・アラメインを、盤面を写した画像をTwitter上でやりとりしてプレイしました。VASSALのようなツールをインストールする必要がなく、パソコンがなくてもスマホやタブレットだけでプレイできます。こんなやり方もあったのね、という感じです。

ドイツ戦車軍団

当初は、僕がNumbersを使ってエル・アラメインをプレイして始まりました。ソロプレイのつもりです。第1ターンのドイツ軍ターンが終わったところで、マップ全体が収まるスクリーンショットを撮って、「イギリス軍の移動を書き込んで遊ぼう」とコメントしてTwitterに掲載しました。

PBP(プレイ・バイ・ピクチャー)_e0120077_21363369.jpg

嬉しいことに、これに対してイギリス軍のムーブが描きこまれた画像を返信いただきました。めでたく対戦スタートです。いただいた画像を使って、次のような手順でNumbers上に再現します(動画はTwitterで見ることができます)。

1. ムーブの描かれた画像をNumbersに貼り付け
2. その画像を半透明にしてNumbersのマップに重ねて、サイズを同じにする
3. その画像を「最背面の1個前」にして、描かれているとおりにユニットを動かす
4. その画像を消して、できあがり

さらにドイツ軍の第2ターンをプレイして、その結果を再びTwitterに掲載します。双方が交互に画像でプレイ内容を伝えて、ゲームはサクサクと進んでいきました。

ドイツ戦車軍団

上の画像は最終ターンのドイツ軍の攻撃が終わったところ。この後にイギリス軍は何もしなくても勝ちが確定しています。最終回のオモテでゲームセット。対戦が実現したことに舞い上がっていましたが、ドイツ軍の負けがゲームのかなり早い時点で見えていたのかもしれません。

プレイ中のすべてのTwitter発言はTogetterにまとめました。各ターンの盤面などを見ることができます。

エル・アラメインのようにマップが小さく、スタック不可で、ユニット数も少ないゲームでないと、このやり方は厳しいかもしれません。とはいえ、スマホだけでウォーゲームをプレイしたいときや、コマが少なめのウォーゲーム、特に水上戦や空戦のゲームなどには悪くないやり方だろうと思います。

# by gameape | 2020-12-19 21:49 | 対戦
ルールの読み方、またはゲーム生活の質の上げ方 #wgac2020_e0120077_11344761.jpg

これは「War-Gamers Advent Calendar 2020」の12月6日分です。

僕はウォーゲームのルールブックを読むこと自体が結構好きで、読むのに時間がかかるとしても、それほどいやだとは思いません。とはいえ、ルールブックを何日もかけて読んでしまうよりは、この時間をウォーゲームのプレイに使った方がいいよな、と思います。

ルールブックを通読しない。または、太字で書かれた項目にだけざっと目を通すだけにして、マップを広げてコマを動かしてみる。そういう方法は何度か試してみたことがあります。でも、僕には向いていないようでした。結局、ルールブックを通読しながら、最初からこうすればよかったのに、となってしまいます。

最近気を付けるようにしているのは、ルールブックの通読は1回だけにする、ということです。一度も通読しないとうまくいかない。でも何回も通読するとプレイする時間が減ってしまう。なので、通読は1回より多くてもいけないし、少なくてもいけない、というのが2020年時点の持論です。

独ソ電撃戦

PDF版のルールを通読しながらプレイに必要な箇所をマーキングしていきます。これで一度通読したルールブックは、マーキングされた部分だけを読めばよくなります。大事なことは「マーキングしたところだけを読めば意味が分かるようにする」ことと、「マーキングしていないところは読み飛ばさねばならない」ことです。

このマーキングの手法は、ニフティ(当時はニフティサーブだったかも)のfgame会議室で、bqsfgameさんに教わったことです。bqsfgameさんご自身のブログでも紹介されれています(僕の名前が!)。僕が自己流でアレンジした部分も多分にあって、教わったことからかけ離れている可能性が大です。

僕は「ウォーゲームとしては普通だな」と思う箇所はマーキングしません。例えば「移動フェイズに自軍ユニットの一部またはすべてを移動させることができ、全く移動させなくてもよい」とか、「ユニットは移動力の一部または全部を使うことができる」などは、マーキングなしです。

プレイに必要ではないけれど後で知りたくなりそうな部分には、違う色でマーキングしていきます。全体としては次のようなやり方です。

・黄色:プレイするために必要なこと(前述)
・緑色:フレーバーテキストなど、後で知りたくなりそうな部分
・赤:プレイ中に探しそうな重要な値など(例:補給線の長さは○○ヘクス)
・赤の波下線とテキスト:疑問や感想、自分への申し送り

マーキングだけでなく、興が乗ったときにはサマリーも作ります(俺サマリ for wargames)。サマリーについては、センパーさんが一昨年のアドベントカレンダーに寄せた記事が参考になります。僕がやってるサマリーより全然リッチです。

サマリーがあると、マーキングされたルールブックより速やかにプレイを始められるし、プレイ中のルール確認時間も短くなります。サマリーを作ったらそれだけを読み、ルールは見ないようにすると効果が上がる、というのはマーキングのときと同じです。

ルールは通読したとしても、他のゲームに手を付けてしまうと頭の中からすっかり抜け落ちてしまいますが、マーキングされたルールブックやサマリーがあると、プレイ可能な状態に自分を復元する時間がかなり短くできます。

マーキングをし忘れることや、ルールを誤解したままサマリーを書いてしまうことはあります。それを使えばルールを見落としたり誤解したりしたままプレイすることになります。でも、そこは割り切りです。プレイできるタイトル数が増えることを良しとします。

プレイの正確さという「質」よりも、プレイするタイトル数という「量」を優先するのは、「質より量」なのでしょう。でも、膨大な題材を多種多様の手法で描く、数えきれないほどのタイトルたちの存在がウォーゲームの魅力であるのだから、より多くのタイトルに触れられることは、ウォーゲーム生活の質的上昇なのだろうと思います。

手元にあるゲームすべてを、今日からそれぞれ1週間ずつかけてプレイしていくと、2028年10月15日にコンプリートできる計算になりました。そのとき僕は63歳。脳内にビートルズの「When I'm Sixty-Four」が流れてきました。大変に心地よいです。まだプレイはしていないのに、しあわせな気分だけちゃっかり先取りです。













# by gameape | 2020-12-06 11:41 | ウォーゲーム生活
2020年の猿遊会はありません_e0120077_00083277.jpg

このところ毎年、たくさんの皆様に来場いただいたり、ネットで声をかけていただいたりしてきたウォーゲーム会「猿遊会」ですが、2020年には開催しないことにしました。

新型コロナウイルス感染症と、うまく折り合いを付けられそうもありません。主催者(僕です)とその家族は、幸運にもいまのところ元気です。僕や家族の健康状態が理由で猿遊会を開催しないわけではありません。

今年の猿遊会に参加しようと考えてくださっていた方。今年の猿遊会でプレイするために何か準備をしていた方。ご迷惑をおかけすることをお詫びします。猿遊会を気にしてくださって、どうもありがとうございます。

ウォーゲームを趣味とする人、そしてウォーゲームに興味を持つ人が、楽しく有意義な時間を持てますように。僕はこのところ、大手をふって家にこもってウォーゲームしていられるので、これはこれで充実したウォーゲーム生活を送れています。

# by gameape | 2020-09-04 00:17 | 猿遊会

スマホをかざしたい

スマホをかざしたい_e0120077_14582829.jpg

米中に振り回される日本 : ソークオフだよ人生は」に次の記述がありまして、スマホを積極的に使いながらウォーゲームする妄想がふくらみました。

『今回は印刷したルールブックを商品に添付、アップデートについてはQRコードからGoogleドライブにアクセスしてもらう、という二刀流でいきたいと思います。』

もともと中黒さんは、QRコードでルールブックにたどり着く導線についてかなり前から言及していて、複数の製品でそれを実践しています。

Bismarck QRコード

マップやルールブックなどではなく、プレイ中に動かすものにQRコードを含めることはできるのか。ユニットやマーカーにQRコードを含めれば、忘れがちなルールをスマホに表示させたりできそうです。「対戦車ユニットは戦車に対する防御ならDRM+1です」とか、「第11ターンは天候判定があります」などとお世話されながらのウォーゲーム。

そもそも、小さなユニットに描かれたQRコードはそもそも認識できるのか。同じぐらいの大きさのQRコードで試してみました。

Bismarck QRコード

ここまで寄っただけではQRコードを認識しません。しかし、もう少しだけ盤面にスマホを近づけると。。。

Bismarck QRコード

QRコードを認識してWebページが表示されました。QRコードを認識する瞬間のスクリーンショットを取りたかたのですが、このようなボヤけた画像が精いっぱいでした。言いたいことがうまく伝わりますように。。。

ウォーゲームでは盤上に何十個とか何百個のコマがあるのが一般的でしょうから、いろいろなQRコードが盤上に散在、混在することになるでしょう。そこにスマホをかざせばちょうどいい情報が表示されるようにするのは、簡単なことではなさそうな気がします。仮に技術的に可能になったとしても、表示される情報を適切な内容に管理していくのはウォーゲーム提供者にとって難しい(というか手が回らない)ことだろうとも思います。妄想ですから、別にいいんですけどね。

冒頭の画像のようにQRコードなどなくても、コマに印刷されている文字やイラストを読み取って、損害記録シート相当の情報を表示できたりすると、スカウターっぽくてカッコいいです。当然、複数人が同時に編集もできますし、編集履歴をさかのぼって調べることもできる。ウォーゲーム用のツールとして開発実現されるというよりは、ウォーゲーム以外の分野で実現した技術が、うまいことウォーゲームで活用されるというのはそこそこありそうな話だろうと思います。


# by gameape | 2020-06-06 15:29 | 電源必須系